生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(4回目)

生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(4回目)

2021年8月26日 オフ 投稿者: 異文化コーディネートプロアライアンス 中村拓海&中本寧

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皆さんこんにちは!

連載も第4回目となりました。今回はいよいよ採用のための手続きになります。

優秀な留学生と出会い、いよいよ入社の為の手続きとなります。
日本人学生と最も異なる点は在留資格の変更許可申請になります。

これは留学生の在留資格を「留学」から就労のための資格に変更するための手続きです。在留資格には添付のようなものがありますが、ほとんどの場合は「技術・人文知識・国際業務」のいずれかに該当すると思われます。

在留資格一覧表(令和2年9月現在)

それでは申請のポイントについてみて行きましょう。

<申請準備>

在留カードの確認:

在留カードから大学、専門学校での専攻科目の確認をしましょう。

注意点】

“専攻科目と業務内容の関連性に注意!”

大学の専攻科目と業務内容及び変更後の残留資格に関連性が弱いと判断された場合は承認されないケースがあります。
「技術・人文知識・国際業務」 ビザは、外国人が大学や専門学校などで学んだ技術・知識を活かして働くための在留資格です。
「技・人・国」は誤った理解が広がっており、近年では切替申請を行う留学生のおよそ15%〜20%もの人が不許可となっており、いつのまにかハードルの高い就労ビザとして認識されています。
許可・不許可のガイドラインが入国管理庁から豊富に発信されており、それらをしっかり読み込んだうえで十分に準備しましょう。

☆専門学校卒の場合はより厳格な審査が行われ、難易度は上がるようです(後述の 【ソーシャライズHP参考記事】 参照 )。

雇用条件確認:

同じように採用する日本人学生と報酬が異なる場合は不許可となります。

素行不良及び入管法における届出不履行の有無確認:

【注意点】

“在学中のアルバイトに注意!”

近年、アルバイトのしすぎを理由に留学生の「技術・人文知識・国際業務」申請が不許可になる事例が増えています。
これは資格外活動違反であり、記事内の「素行不良」に該当するためです。
面接のとき、1週間にどのくらいの時間アルバイトをしているのか、どのようなアルバイトをしているのかは、在留資格申請のリスクヘッジの観点からも是非しておいたほうが良い質問です。

<申請書類>

申請書類は以下のように本人が準備するものと会社側が用意するものの二種類があります。
会社側が用意する書類は会社の規模により異なりますので注意しましょう。

【外国人留学生が準備するもの】

  • パスポートと在留カード
  • 外国人登録証
  • 在留資格変更許可申請書
  • 履歴書
  • 申請理由書
  • 卒業証明書または卒業見込み証明書

※履歴書と申請理由書は自由書式です。申請理由書には、採用までの経緯と、学校での選考と職務との関係を記します。

【企業が準備するもの】

  • 採用通知書等
  • 商業法人登記簿謄本、決算報告書(損益計算書)の写し
  • 会社パンフレット(またはWebサイトのプリントアウト)
  • 雇用理由書

参考:

◆入国管理局(Immigration Bureau of JAPAN)HP

株式会社グローバルパワー:在留資格変更・在留資格更新に必要な申請書類は?~必要書類チェックリスト

【注意点】

“必要最低限の書類だけでもダメ?書類を出しすぎてもダメ?”

これは就労ビザ取得における落とし穴なのですが、入管のホームページに書いていなくても提出すべき資料があったり、逆に不用意に資料を出しすぎると不許可の可能性が高まったりします。
これらは過去の経験則から何となく導き出されるものであり、また社会情勢などの影響でも運用が若干変わるので、実務に従事している人でないとわからない領域です。

<申請>

  • 申請者:原則として留学生本人が自分で出入国在留管理庁にいく必要があります。
  • 申請場所: 法務省入国管理局、地方入国管理局(8局)、同支局(7局)、出張所(61ヵ所)で手続きが可能
  • 申請時期:新卒者が4月から就職できるよう、その年の1月(東京入国管理局は12月)から受付可能です。この時期は窓口が大変混み合い、膨大な申請がなされる事から審査に時期がかかります。受付開始までに必要な書類を準備しておきましょう。

申請書類の作成や申請手続きについては当コラムに協力いただいている株式会社ソーシャライズもしくは行政書士と言った専門家に相談するのが良いと思います。

【ソーシャライズHP参考記事】

外国人採用の面接の注意点

外国人採用で知っておきたい就労ビザの話~フルタイム編~

専門学校に通う留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」変更申請、成功の鍵は雇用理由書にあり

それでは次回はいよいよ最終回、技能実習生についてご紹介します。

お楽しみに!

(この稿おわり)

実は最終学歴が大学以上の場合と専門学校卒業の場合とで、許可される難易度は格段にかわります。
両者とも学生時代に勉強してきた内容と、入社後の業務内容との関連性が求められることにはかわりないのですが、
その判定について大卒以上の場合と専門卒とで大きな違いがあるからです。
細かいことは割愛しますが、要は、大卒以上の学位保有者は「幅広い分野の知識を持っていて、仕事においても応用きくよね」という前提であり、
専門卒の人は「限られた分野の専門性を磨いてきたから、その領域のみ得意ということだよね」という前提で判定されるのです。
必然的に、大学以上の学位保有者よりも専門卒の人の方が学習内容と仕事内容との密接な関連性を求められることとなります。
例として、日本の大学で経済学部を卒業した人は、経理やマーケティングはもちろんのこと、企画、営業、貿易事務などの仕事内容でも許可される可能性が高いです。
一方、日本の専門学校で「経理・簿記」を専門的に学んだ人が仕事に就こうとすると、基本的に経理職でしか許可はおりません。
専門学校卒業生の場合は、学んでいた学問と就職先企業との関連性も専門学校卒の方が厳しく審査される点に注意しましょう。