亀田徹のビジネスアイディアライブラリー 宅配ロッカー編-③
2021年7月22日ベンチャー企業の立ち上げを始め数多くの企業の経営に参画し、商品開発や事業開発に携わってきた亀田徹さんのビジネスアイディアライブラリー。宅配ロッカー編の第3回です。
宅配ロッカー+携帯電話による活用拡大
2000年になると宅配ロッカーは急激に設置率が高まり分譲マンションではほぼ100%になりました。
しかしアパートや一戸建てに住んでいる方はこの恩恵は受けられませんでした。
またこの頃から運送会社による時間指定配達で同じエリアを1日に何度も配達に回るというサービスが始まっていました。
そこで、マンション以外にこのアイディアを応用できないか?と考えたのです。
設置場所第一候補;駅
最初に思いついたのが駅構内でした。
通勤帰りに駅で宅配物を受け取って帰れれば楽なのでは?と考えたのです。
駅には荷物が一時預けられるコインロッカーがありますよね。
実はコインロッカーは駅構内では隠れた優良ビジネスで、使い勝手の悪いスペースに設置して収益源とする、いわば「空気」を売っているだけで小銭が稼げるビジネスだったのです。
このコインロッカーで一時預かりだけでなく宅配物が受け取れないかを検討しました。
しかし当時のコインロッカーは現金を投入しカギを持ち歩くタイプ。運送会社がどうやって顧客のコインロッカーを特定し、解錠して持ってきた荷物をそこに置けばいいのか?
特許!携帯電話をキーとするロッカー
そこで考案したのが携帯電話の発信者通知の利用。
ロッカー側に電話番号を持たせ、そこに電話して発信者の番号を一時的に記憶させ、それをキーにする特許を取得しました。
運送会社の携帯番号(=解錠の暗証番号)でロッカーに荷物を入れ、それを受取人の携帯で受け取るという運用でした。
個々の携帯番号はそれぞれがユニークなコードであることからの発案でした。
このアイディアは今でも応用可能だと思いますよ。
設置場所第二候補;コンビニ
ところが当初検討していた駅構内は、
- 運送会社のトラックの横持場所がないこと
- 24時間利用できないこと
が、ネックとなりました。
代わりに浮上してきたのがコンビニエンスストアです。
コンビニならばトラックの横持が可能で、しかも24時間利用可能。
荷物受け取ってから自宅まで持ち帰る距離も、駅よりコンビニの方が短いことから、設置場所候補をコンビニに変更。コンビニ各社に企画を持ち込みました。
しかし当時はコンビニ内にATMさえない時代。
こうした企画が受け入れられるのは困難な状況で事業化されることはありませんでした。
時代が進み、やがて運送会社の時間指定配達はコストが嵩むという問題が表面化し、最近では運送会社制作の宅配ロッカーがいたるところに設置され始めています。
(この稿おわり)
34歳のとき、当時空調機メーカー開発部勤務から独立し、日本で初めての「宅配ロッカーでクリーニング受け渡し」事業でベンチャー企業を立ち上げる。
その後、日本初の様々な事業を立ち上げ、TV、新聞、雑誌などに取り上げられる。
現在は「TKコンサルティング」の代表として各企業の新規事業の立ち上げ、アイデア提供などを行っている。