生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(3回目)

生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(3回目)

2021年7月13日 オフ 投稿者: 異文化コーディネートプロアライアンス 中村拓海&中本寧

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皆さんこんにちは!
今月も如何に優秀な留学生を呼び込むかについて一緒に考えたいと思います。

今回は、“歌って、踊れて、中国語ができるキャリアコンサルタント”中本寧と、外国人雇用と定着に実績ある株式会社ソーシャライズの代表中村拓海によるコラボレーション「異文化コーディネートプロアライアンス」がお届けします。

先ずは前回のおさらいです。以下の4つを意識して留学生の皆さんを迎える「環境」作りを行うことが大事だという事でしたね。

  1. 情報発信
  2. 相互理解の“場”作り
  3. 仕事開発
  4. 個別支援

それでは今回は“ネットワーク化”により地域で優秀な留学生を呼び込む方法を考えます。


中小企業1社ではコスト的にもマンパワー的にもできることは限られます。
地域の中小企業が連携することにより、1社ではできない“留学生イベント”や“合同企業実習”を行うことでより多くの留学生を地域に呼び込めます。
地域の企業が連携して大きなイベントを開催することによりその地域の大学や日本語学校とも連携が可能になり、より効果的に留学生と接触することができるようになります。
またこのような取り組みは当然地域の自治体にも注目され、そのバックアップを受けることができるようになります。結果として更に大きな力を持つことができると考えます。
それでは具体的な成功例をいくつか見てみましょう。

1)「かがやき・つなぐ」北陸・信州留学生就職促進プログラム

https://kagayaki.w3.kanazawa-u.ac.jp/
金沢大学・信州大学及び北陸・信州地区の企業約100社がコンソーシアムを形成し大学一年の時から就労に向けてのプログラムを留学生に提供。全国的に見ても人手不足が深刻な北陸・長野で理系・博士・非日本語話者も含めて企業とのマッチングを実現しています。
成功のカギとなっているのは地域の金融機関とタイアップし、中小企業の細かいニーズも捉えてマッチングを行っている点と言えるでしょう。
採用企業側からは多様性が生まれ組織全体の活性化に繋がった、自社のカルチャーに共感してくれる人材が採用できたとの声が寄せられています。
参考:有効求人倍率(令和3年5月)都道府県ランキング

2)ヨコハマ・カナガワ留学生就職促進プログラム

http://www.careerjapan.ynu.ac.jp/
横浜国立大学(YNU)・横浜市立大学(YCU)及び神奈川県・横浜市の経済団体、企業、自治体が連携し留学生の就労支援を行っています。
日本語教育プログラム、キャリア教育プログラム、インターンシップを始めとした企業セミナー・説明会を積極的に実施しています。
この取り組みの素晴らしいところは、両大学のキャリアセンターと横浜市職員が足で地元企業に通いインターンシップ先及び求人を開拓し、入社後の企業と留学生のフォローを続けると言った地に足の着いた活動が行われている点です。

3)愛媛大学の「留プロ!」

https://ryupro.isc.ehime-u.ac.jp/
私(中村)が直接ヒアリングしてきた中では最高の取り組みです。
同プログラムを受講した留学生の就職率は直近3年続けて80%超えという高水準。しかも県内就職が半分以上。
参画企業は200社以上あり、スタッフはビジネス日本語に精通した教師、元人材会社出身のコーディネーター、複数名のキャリアコンサルタントなど外国人留学生のマッチングに必要なプロフェッショナル10名が集う強力な体制を構築しています。
もちろん、伊予銀行など金融機関ともタイアップしてマッチング支援などを実施。
企業側にグローバルやダイバーシティをテーマに研修を実施し、外国人雇用のマインドセット形成や制度設計まで対応しています。

4)関西大学の「SUCCESS Osaka」

https://www.kansai-u.ac.jp/Kokusai/SUCCESS-Osaka/
「SUCCESS Osaka Award」に代表されるように、産官学全体で外国人雇用や留学生の就職について考えていこうという仕掛けが豊富です。
また、ビジネス日本語のe-learningが進んでいます。
経験豊富な元人材エージェントが同プログラムに参画しており、企業と留学生のマッチングを上手にこなしていると聞いています。

5) 名古屋工業大学の「工場長養成塾」

https://kojocho-juku.web.nitech.ac.jp/
歴史あるプログラムで、外国人留学生に焦点をおいたものではないものの、理論と実践を徹底的に教える非常に優れたものです。
外国人留学生にものづくりの真髄を伝え、工場のマネジメントや製造業の経営を体系的に教えられるプログラムは、他に聞いたことがありません。

<政府の取り組み>

厚労省をはじめ政府も「外国人就労・定着支援研修事業」の一環として留学生の就労支援に動き出しています。
ぜひこういった制度も活用して優秀な留学生の採用を進めていきましょう。
外国人雇用対策 Employment Policy for Foreign Workers |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
「外国人留学生の国内就職支援モデルカリキュラム」を開発しました 厚生労働省(mhlw.go.jp)

今回は留学生支援の実績が豊富な株式会社ソーシャライズ中村社長にご協力いただき、“ネットワーク化”で優秀な留学生を地域に呼び込む成功例をご紹介しました。
次回は留学生採用に必要な手続きや実務について、引き続き中村社長にご説明していただきたいと思います。
それでは来月またお会いしましょう!
(この稿おわり)