ビジネスエッセイ:SDGs@中小企業-②
2021年4月4日【SDGs意識調査】
帝国データバンクが2020年7月に公表した調査結果
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200708.pdf
では、
SDGs に積極的な企業は、大企業で全体の34.9%。「中小企業」は 22.1%、「小規模企業」は 19.0%にとどまっています。
ちなみにこの調査での「積極的」の定義は、SDGsの「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」及び「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業です。
筆者の実感としては「積極的な」中小企業の比率はたぶんそれ以下。
SDGsという言葉を聞いたことはあるが、具体的な実践はもちろん、その必要性も感じていない。「ウチの会社でそれ、関係あんの?」が大多数中小企業の実状でしょう。
【ホテル/宿泊業の場合】
コロナ禍の前、大手ホテルチェーンではオーガニックアメニティや清掃の省略などをSDGsと関連付けてアピールし始めていましたが、中小ホテルの反応は鈍いものでした。
ホテル業界に強いコンサルタントに水を向けても「(中小ホテルの経営者は)SDGsには興味ないですね」とつれない返事。
確かに筆者の知る何社かの中小宿泊業者でSDGsに「積極的」な先はありませんでした。
そしてコロナ禍。ホテル/宿泊業界全体がSDGsどころではなくなってしまいました。(それでも大手はSDGsの旗は降ろしていませんが)
【大企業にとってのSDGs】
大手企業の経営陣の中にも、本音では「SDGs?なんだよ面倒臭せえなぁ。コストばっかりかかって儲かんねぇじゃねえか・・・。」という方も少なからずいらっしゃるのでは?と思っています。
とはいえ、大手企業の場合、ESG投資家への対応、首相交代により環境政策重視に舵を切った政策への対応など様々な「外圧」があり、もはやSDGsは不可避の経営課題と認識せざるを得ない環境にあります。
大企業にとっては「やって当たり前」のSDGs。その結果、「必要は発明の母」となり、大企業のESG/SDGsへのノウハウ、経験値はどんどん上がっていきます。
【中小企業にとってのSDGs】
一方、中小企業はまだその意識が希薄です。
上述のような「外圧」は中小企業には直接にはかかりません。
想定される「外圧」としては、大企業が「サプライチェーン全体でのESG適合」を求められた結果として、サプライチェーンの一端を担う取引先の中小企業にまでESG/SDGs対応を求めてくる場合でしょうが、ものづくりや物流系には当てはまりますが、小売りやサービス業などBtoC型の中小企業はそうした「外圧」からも免れるでしょう。
どんな組織でもそうですが、とりわけ中小企業は「急がないけど重要」という経営課題への対応が苦手です。
事業承継や人事政策、事業構造や環境の変化への対応がこれに当てはまりますが、怠ると「茹でガエル」になります。
SDGsへの対応もまさに「急がないけど重要」な経営課題で、先に述べた「外圧」でもかからない限りは致命的に後手を踏む可能性大です。
中小企業の従業員の方々とお話ししていると、おしなべて真面目で素直な方々が多いです。反面、やや受け身で指示待ち型。自分の業務環境の「変化」を嫌がる傾向が強いです。(素直で受け身な割には「変化」には頑強に抵抗する)
こうした方々にSDGsの話をすると総論としては皆さん前向きで、中には目を輝かせ身を乗り出してくる方もいらっしゃいます。
ただ、自分の業務の遂行手順まで変えて実践、となると、自発的/継続的に取組んでいただくのは容易ではありません。
やはり経営トップの強力なリーダーシップ、コミットメントなしには進まないと考えます。
SDGsに取組む中小企業がまだまだ少数派であること、この分野に関する中小企業の(経営者の)問題意識がまだまだ高くないこと、これをもって「差別化のチャンス」と見るか?「今はやらなくても大丈夫」と考えるか?
2030年(SDGsの目標年度)に向けて、中小企業は日々、この岐路に立たされることになります。「差別化のチャンス」は次第に「チャンス」ではなくなり、「茹でガエル」が浸かっている「お湯」の温度は徐々に、けれど確実に上がっていくのです。
(この稿おわり)
こんにちはHill Andonです。日本語で書くと昼行燈と申します。
サイトオーナー兼管理人兼編集長兼メインライターです。
中小企業のみなさん向けに、エグゼクティブコーチング・経営改善支援・補助金申請支援などを行なっている、フリーランスの経営コンサルタント。中小企業庁の「認定経営革新等支援機関」でもあります。
よろしくお願いします。