低コストなオーダーメイドシステムで生産性をアップ!~ローコードツールで中小企業にもDXを~

低コストなオーダーメイドシステムで生産性をアップ!~ローコードツールで中小企業にもDXを~

2023年7月13日 オフ 投稿者: 鈴木健二郎

お役所は反面教師?

先日パスポートを更新するために役所に行ったのですが、窓口には長蛇の列。
10年前も、20年前も同じような光景を見た気がします。
整理券を取るための列に並んでやっと順番がきたと思ったら、申請書を書いてから並んでくれと言われ、申請書を書いて並び直して整理券を取るとそこから2時間程待たされ、呼び出された窓口に書類を渡すと1週間後にパスポートを取りに来てくれとの事。
書類を渡すだけなら待った2時間は一体なんだったのか・・・。

ちなみに今年からオンライン申請が可能となったようですが、私が行った窓口には10人くらいの係員が対応していて、少なくとも100人の人達が待たされていました。
私の場合、事務手数料は18,000円だったでしょうか。
この窓口が上げる手数料収入を考えるともう少しまともな業務フローを築けそうですが・・・。

役所での出来事は、馬鹿らしいと思いながらも反面教師にするしかありません。
しかし、民間企業でも同じような事が局所的に起きています。
予約管理システムや勤怠管理システムなどは沢山の会社が使うため色々な製品が世に出ていますが、自社特有の課題を解決してくれるシステムはなかなか見つかり難いと思います。
しかし近年、そんな悩みが解決するツールが世に続々と出てきました。
それが「ローコードツール」と呼ばれるツールです。
「中小企業の生産性向上にはDX(デジタルトランスフォーメーション)が必須」と叫ばれて久しいですが、現実にはなかなかDXは進みません。
ローコードツールこそ、そんな中小企業のDXの解決のカギになる、と私は考えています。

ローコードツールとは?

ローコードツールは、プログラムなどの知識が無くても自社の課題に合わせた業務管理アプリなどが簡単に作れる仕組みです。
現場ではスマホから、事務所ではPCから情報の入力や確認ができ、大幅に無駄な業務を短縮できます。
私も少し勉強をして、最近以下のようなアプリを作りました。

  1. 工務店と施主の打ち合わせ履歴を自動で書面化し施主にメールで自動共有する「議事録共有アプリ」
  2. 現場ごとの材料費が一目でわかる板金屋さんの「かんたん在庫管理アプリ」
  3. 不用品回収業の現地調査から請求書発行までの業務を自動化する「案件管理アプリ」
  4. 営業のいない工務店が受注を最大化させる「営業行動管理アプリ」
  5. GPSで出退社や営業履歴の管理を行える「勤怠管理アプリ」
  6. 案件管理と請求書発行を自動で行える「請求書発行アプリ」(自分用)

例えば案件管理アプリであれば、引き合いがあった時点で事務員さんが情報入力し、現場でそれを見ながら営業パーソンが見積もりの入力なども行え、自動で見積書をメールでお客様に送信できます。
お客様からの了承サインもタブレットにその場でもらう事ができ、サインをした時間や場所のGPS情報も自動で残す事が可能です。
案件は一覧化され、次回はいつ誰が何をすれば良いか、どこからでもすぐに確認する事ができます。

ローコードツールのメリット・デメリット

アプリを提供し始めて半年程度経つのですが、徐々にわかって来たローコードツールのメリットとデメリットをまとめてみました。

【メリット】

  1. 現場担当でもスマートフォンで楽に管理できる
  2. 自社に合ったシステムを非常に低いコストで導入できる
  3. 人的ミスを減少させられる
  4. 社内全体に無駄の無いスピーディな情報共有ができる
  5. 業務に合わせて頻繁な更新が可能

メリット1:現場担当でもスマートフォンで楽に管理できる

会社の外に出て活動するスタッフにPCで日報などの入力をさせる事ほど酷な事はありません。
実際今まで作ったアプリのほとんどは外に出て活動される方々のニーズを形にしたものです。
スマホのボタンを押せばGPSで訪問記録が残せて、活動後はステータスを変えればその日何をしたか自動で履歴が残るので多くの業務から解放されます。

メリット2:自社に合ったシステムを非常に低いコストで導入できる

システムは値段がピンキリ。
なので自社の収益性に合わないシステムを導入してしまっているケースがしばしばあります。
以前、生産管理システムに導入費用とは別で月30万円の費用をかけていた企業がありました。とても便利なシステムなのですが、当社の業務フローを見てみるとシステムは使っていない機能ばかり。
結局月5万円程度の費用で必要最低限の機能を残したシステムを導入でき、導入費用も1年かからずに回収ができました。

メリット3:人的ミスを減少させられる

中小企業が抱える課題の多くは在庫管理に関してですが、企業規模とはあまり関係なく、在庫管理は煩雑になりがちな印象です。
在庫管理に関しては多機能なソフトが世の中に沢山あるのでその全てをカバーできる訳ではありませんが、それでもローコードツールは効果的です。
例えばスマホのカメラで製品と紐づけたバーコードを読み込ませれば、数字とステータスの入力だけで入出庫の管理ができます。
自動プロセスを増やす事で人的ミスを極力減らす事が可能です。

メリット4:社内全体に無駄の無いスピーディな情報共有ができる

定例の朝礼や会議は参加人数や共有する情報が増えるほど時間が伸びていきます。
とはいえ、なくしてしまう事は出来ない企業がほとんどでしょう。
「会議全廃」をすぐに実現する事は難しいかも知れませんが、それでも常に全員が最新の情報をひと目で把握できるようにし、来週までに何をすれば良いのか、今日何をすれば良いか、他のスタッフより作業が遅れているスタッフがいないか、などが瞬時にわかるようにツールをカスタマイズする事が可能です。

メリット5:業務に合わせて頻繁な更新が可能

最大のメリットとも言えるのが、自社の業務に合わせて細やかな更新が可能なのがローコードツールの魅力です。
導入してから業務との整合性が取れなくても、システムに手を入れる事で徐々に自社にフィットしたシステムが出来上がっていきます。

私の取引先でも最初のうちは毎週のように要望が出てきていましたが、カスタマイズをしながら2ヶ月程経つと月1くらいの打ち合わせで済むようになり、3ヶ月くらいからスムーズに機能し始めた企業がありました。

【デメリット】

  1. 無料でも使えるが社内に詳しい人がいないと月額料金やカスタマイズ費用がかかる
  2. 日本語のOCRや音声認識の精度はまだまだ低い
  3. ツール次第では古いタブレット等で使用不能になる可能性もある
  4. 設計ミスがそのまま大きなミスにつながる事がある
  5. パソコンや携帯を触る習慣がない人は結局触らない

デメリット1:無料でも使えるが社内に詳しい人がいないと月額料金やカスタマイズ費用がかかる

特殊な使い方をすればですが、無料で使い続けられるツールも存在しています。しかし、やはりそれは少数派。
多くのローコードツールアプリは導入時や改修時のカスタマイズ費用や月額利用料がかかります。
ただ、実際に運用のお手伝いを始めて気付いた印象ですが、少なくともデータベースへの興味や業務効率化への関心がある方が社内にいると低コストでの運用が可能な印象です。
あくまでも感覚的な話ですが、年商5億円以上の売上がある企業で総務をされておられる方が業務効率化のためにローコードツールの勉強を積極的にされておられるような印象を受けています。
そんな方がいらっしゃれば、貴社のDXの前途は明るい?

デメリット2:日本語のOCRや音声認識の精度はまだまだ低い

GoogleやMicrosoftが便利なローコードツールを提供していますが、まだまだ英語圏の文化という印象があります。
国産のツールもあるのですが、私には使い難くサポートも弱い印象を受けました。
ローコードツールはOCRや音声認識の機能を付ける事が可能ですが、英語圏のツールの日本語認識サービスはまだまだ精度が甘くうまく機能しない部分があり、今後のアップデートを期待するしかありません。

デメリット3:ツール次第では古いタブレット等で使用不能になる可能性もある

インフラの整っていない東南アジアのとある国でPOSレジ代わりにローコードツールによる販売管理システム導入を検討していたのですが、オフラインには対応可能なものの、古いタブレットでは動かず、費用面で導入を諦めたケースがありました。
PCであればブラウザを更新すれば済む話ですが、古いタブレットを使用している企業/業態では突然業務が滞るリスクがあります。

デメリット4:設計ミスがそのまま大きなミスにつながる事がある

ローコードツールはシステム開発がわからないスタッフでもアプリを作れる一方で、書いたコードが少し間違っているだけでそのまま情報が蓄積・表示されてしまい、意思決定を間違えてしまう可能性もでてきます。
どのようなシステムを構築するにせよ、ある程度のテスト運用期間を設ける必要がありますし、会計処理などのような複雑すぎるシステム構築には向きません。

デメリット5:パソコンや携帯を触る習慣がない人は結局触らない

どれだけ便利なアプリが出来上がっても、触る人に苦手意識があればシステムは機能しません。
色々な言い訳をして結局触らず、従来の業務効率が維持されます。
スタッフならまだしも、リーダーや管理者がそういうタイプの方であれば、その方々の意識が変わらなければ結局業務フローは変わりません。
比較的高い年層にシステムへの苦手意識があるようですが、触ってみると意外と仕事を楽にこなせるようになるという気づきを得る方もおられます。


いかがでしたでしょうか。様々なメリット/デメリットはあるものの、ローコードツールは中小企業のDXを後押ししてくれる協力なツールです。
「とにかく無駄な業務を減らしたい!DXを内製化したい!」という方は是非ご相談下さい。
当社ではアプリの提案は勿論、社内スタッフがローコードツールを使いこなせるようになるサポートも行っています。

(この稿終わり)