ビジネスコーチのショートエッセイ;気分は昼行燈(ひるあんどん)-㉒

ビジネスコーチのショートエッセイ;気分は昼行燈(ひるあんどん)-㉒

2022年3月3日 オフ 投稿者: Hill Andon

3月3日 歴史は繰り返す

クライアント(C):東京の人口が転出超過になったそうやなぁ。移り住む人より出ていった人の方が多かった?

ビジネスコーチ(BC):そうみたいですね。正確に言うと東京23区の話。「東京都」の括りだと転入超過みたいですよ。

C:そうかぁ。一方でマンション価格は全国平均が初の5000万円超えなんでしょ?首都圏は6000万円台で過去最高とか?どうなっとるんや。
BC:確かに日本全体では人口減少だし、コロナ禍とかもあって大都市から地方へ転出する人も増えてきてるって聞きますが、相変わらず都会のマンションは高値でも売れてるってことですよね。
C:そういうことだよね。なんか変だよね。
BC:でもね。転出/転入の話でいうとね。関東各県で転出超過は栃木県だけみたいですよ。反対に近畿2府4県では転入超過は大阪府と滋賀県だけ。九州では福岡県だけが転入超過。なんと愛知も転出超過。要するに地方から都市部へ、という流れはあまり変わってないように見えますね。
C:だから都会のマンションが値上がりするんか・・・。しかし、一方で空き家問題が深刻化しとるんでしょ?この狭い日本にかたや空き家がごろごろ増えてるのにこっちではマンションがエライ高値で売れとると。
BC:そうですね。ちなみに日本人の年収の「中間値」(平均ではなく、ちょうど「中間」の値)は437万円。マンション価格(5000万円)はその約11.4倍となります。
C:おいおい。住宅買うときは年収の5倍まで、と違うんかいな?
BC:昔はそう言いましたけど、今は低金利なので住宅ローンの負担が軽く、年収の6-7倍の物件を買うのも珍しくないようですね。
C:お~。でも、そろそろ金利上がるんと違う?上がり始めたらやばいで。変動金利で借りてる人が多いでしょ。
BC:確かに。金利は上がり基調になると急上昇するって言いますもんね。

C:まぁしかし、インフレも始まったことだし、金利よりも不動産価格が上がれば、転売すりゃ借金返しておつりが来るな。そうか!いっちょ投資マンションでも買うか!?
BC:
いやぁそれってサブプライムローン時代のアメリカの発想ですよ・・・・。

C:歴史は繰り返すのじゃ~!!

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2月24日 情報の虜にならないように

ロシアのウクライナ侵攻がついに現実のものとなりました。
地上軍の進撃とともにミサイル攻撃も行われている模様で、既にウクライナの防空システムは制圧されたとも報じられています。
「西側」諸国は当然ながら非難轟々ですが、一方ロシア側は軍事行動をジェノサイド(集団虐殺)に遭っている新ロシア市民を守るのものだと主張しています。
そしてそんなロシアを支持するシリアやニカラグアといった国々があり、中国も微妙なスタンスを取っています。
私たちが日頃接する情報/報道はいわゆる「西側メディア」経由のものなので、「西側」の目線で情報を切り取り、解釈し、価値判断を下していますが、こうした「ロシア寄り」(ロシアも含む)の人々が接している情報/報道はおそらく全く異なる様相、「事実」なのでしょう。

戦争にまつわる情報は特にそうした「プロパガンダ」的な色合いを帯びますが、それだけにとどまらず、私たちが得ている情報は常に正確で、真に公正なのか?これは難しい問題ですね。

人は誰しも自分にとって都合の良い情報に着目し、それが正しいと信じる(信じたがる)傾向があります。
トランプ前大統領の支持者の多くが今も「大統領選挙(の結果)は盗まれた!」と信じている(?)のもその表れでしょう。

インターネットでの情報収集は、その傾向に拍車をかけます。
新聞などの紙媒体は比較的一覧性が高く、好むと好まざるにかかわらず様々な情報が目に飛び込んできますが、ネット上では自分にとって興味のない情報を排除し、都合の良い/心地よい情報だけに身を浸すことが容易に可能となります。

その結果、人々のものの見方には偏りが生まれ、意見の対立はより先鋭化しがちです。
「よくそんな馬鹿なこと信じてるね」
とは、対立する者同士が互いに相手方に対して投げつけるコトバなのかもしれません。

ビジネスシーンにおいても同じ。
自分が日々接している情報ソースに偏りはないか?耳障りの良い情報ばかりを集めて「正しい判断をしたつもり」になっていないか?をセルフチェックする姿勢が大切です。自ら進んで情報の虜にならないように。

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2月17日 SDGs@中小企業

クライアント(C):「ねぇ、コーチ。SDGsって我々中小企業にとって意味あるんかね?」
ビジネスコーチ(BC):「SDGs。国連が決めた『持続可能な開発目標』ってヤツですね」

C:「エエことやと思うで。確かに。でもね。中小企業がアレを真面目にやっとったら、効果が出る前に会社が潰れるで」
BC:「そうですか!?というと・・・?」
C:「そうでしょう?『つくる責任つかう責任』言うて環境負荷の低い材料仕入れとったら、現状やと確実にコストアップやで。さらに『働きがいも経済成長も』言うて雇用環境の整備を求められてもな・・・・。そりゃワシも従業員のために何とかしてやりたいのはヤマヤマやが、この人手不足では現状維持が手一杯。これ以上を求められても仕事が回らんようになるで」
BC:「そうですかぁ・・・。ネット上ではSDGsを頑張っている中小企業も結構いるみたいですが・・・。」

C:「まぁな。研究開発型のベンチャーはエエわいな。『産業と技術革新の基盤をつくろう』に始まって住環境・気候変動・海や陸の環境保全etc. 自社がやっとる製品開発と何かしら結び付けてマーケティングできるやろ。そやけどな。わしらみたいな在来型のビジネス、サービス業みたいな労働集約型の中小企業は(中小企業の大半がそのテの企業や)、社会課題の解決につながるイノベーションとか言われてもな」

BC:「でも、例えば、女性の社会進出をサポートするような、社会課題の解決につながるような新しいビジネスも出てますよね」
C:「確かにな。そういう『意識高い系』のビジネスモデルが出とるのは知っとる。大したもんやな。とも思う。でもな、ホンマにメシ食えとるんかいな、そういう会社・・・?」

BC:「いやぁ~。財務情報までは知りませんが・・・。でもね、最近ではサプライチェーン全体でのSDGs対応を求められるようになった大企業が取引先の中小企業にも同様の対応を求めるようになってきている、と聞いています。御社にはそういう要請は来ていませんか?ある意味それってSDGsに第一歩を踏み出すチャンスですよね?」
C:「今のところ、そういう要請は来てないな。幸か不幸か。」
BC:「『幸か不幸か』ですか・・・。」

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2月11日 すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

日本電産流 V字回復経営の教科書 
という本を読みました。

京セラ、ワコール、任天堂etc. ユニークな企業の多い京都のエグゼクティブカンパニーの中でもひときわ異彩を放つ日本電産。
多くの会社を買収してV字回復させてきた実績はよく知られています。
なんで、そんなコトができるんだろう?
そんな疑問から本書を手に取ったワケです。

そうか、やっぱりコレか・・・。
というのが読後感。

同社のウェブサイトにも掲げられている「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」。
コレですか・・・。って感じですね。

業績不振の被買収企業に乗り込んでいって、「1年間は言われた通りにやってくれ」とゴリゴリやるみたいです。
やることは主にコストダウンと営業の建て直し。

で、そのコストダウンと営業再建の手法になにか目新しいモノがあるかというと、そんなことはない。極めてオーソドックス。
ただそれを「すぐやらせる、必ずやらせる、出来るまでやらせる」と。
最近流行りの「組織開発」(Googleのナントカ)みたいなのとはあんまり縁がないみたい。

でもそうなんですよね。
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」
規模の大小に関わらず、できてる組織はあんまりないんですよね・・・。

やれやれ、やっぱしコレか・・・。
僕もコンサルタントの端くれなんで、「なんか秘密があるんじゃないか?」ちょっと期待していたんですが、そんなに甘いもんじゃないですよね。

「管理(「すぐやらせる、必ずやらせる、出来るまでやらせる」こと)とは、暑苦しいものです」
著者の言葉が妙にアタマに残っています。
確かに暑苦しい(笑)
しかし、説得力もある。

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1月22日  パワハラのない組織

クライアント(C):「ねぇコーチ。この記事どう思います?」
(フットボール批評issue34:ハラスメント問題に揺れるJリーグをどう見るか? 為末大が推奨する「させる力」より「させてしまう力」)

ビジネスコーチ(BC):「ほう。元陸上選手の為末大さんの発言ですね。なかなかオタクな雑誌をお読みですね。(笑)
『(スポーツの指導現場でパワハラが撲滅されたとしたら)自ら課題を見つけて取り組める選手にとっては快適ですが、自分で自分を追い込めない選手にとっては厳しい状況になる』と。ナルホド」
C:「確かにね。パワハラ的な指導はやっちゃいかんと思います。ホントにそう思います。でもね。ウチの部署のメンバーを思い浮かべるとね・・・」
BC:「思い浮かべるとどうなんですか。部長?」
C:「A君はね、大丈夫。彼は私がどんなマネジメントをしてもそれこそ『自ら課題を見つけて取り組み、自分で自分を追い込め』ますから。
B君、C君、D君もね、彼等は長い目で見ればパワハラ的じゃないマネジメントの方が創造的に成長していくでしょう。
問題はE君。為末さんが言うように、彼は厳しい」
BC:「そうですか。どう厳しいんですか?」
C:「今の彼は外からの強制力がないと働かない。内発的なモチベートができないんでね。で、一方で彼が変わっていくのをじっくり待てるだけの時間が現場に与えられているかというとね・・・」
BC:「なるほど」
C:「現場の責任者としては『そういうE君は厳しい』では済まされなくて。
限られた時間の中で、E君も含むチーム全体のパフォーマンスを上げなきゃならない。
E君が『変わる』までの間のチームパフォーマンスの低下という『コスト』を他のメンバーが負担しなきゃならない・・・。
見放して、人事に言って移動させりゃいんだよ。っていう同僚の部長もいますけどね。それはそれでネグレクト=パワハラの一種でしょ」

パワハラは絶対なくなった方が良い。
一方で組織のパフォーマンスを向上するそれに代わる手法が見つからない。
従来型の組織マネジメントにどっぷりつかってきた世の大半?のマネージャーたちの本音もその辺にあるのではないでしょうか。

明日も会社でE君と会うんだよな・・・。

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1月13日  イケてる広告の条件

面白い、というかイケてる広告の条件として「パロディ」「エクストリーム(そこまでやるか!)」「ナンセンス(ようわからんけどオモロイ)」があるというのをどこかで読んだ気がします。かなりいい加減な記憶なんで間違ってたらスミマセン。
具体的にどんなのがあるかな?と調べてみました。

パロディ:
auの「三太郎シリーズ」は傑作でしょうね。インパクトあるし楽しい。
https://www.au.com/pr/cm/3taro/
ただパロディは著作権の問題があるから制作する側は大変でしょうね。

著作権で思い出しましたが、最近のCMって著作権が切れたと思しき?楽曲に合わせて踊ってる、みたいな「いかにも低予算で作りました」的なのが目立つように思うんですけど如何でしょうか?アレは放送文化の堕落だなぁ・・・。

エクストリーム:
そこまでやるか!ようやるなぁ。と呆れてしまうくらい極端な内容。
ちょっと古いですが、リポビタンDのシリーズなんかそうでしょう。「ファイト!一発あぁ~つ!」
https://www.youtube.com/watch?v=gXAW7CpRYyE

ナンセンス:
筆者が一番好きなのがこのパターン。
傑作がいくつも思い浮かぶのですが、最強はやはりコレ。
♪♪みんなまあ~るくタケモトピアノぉ~♪ 電話してちょおだ~い♪
http://www.takemotopiano.com/cm.html
不朽の名作(笑)

御社の広告は如何でしょうか?
「ウチみたいな中小企業は広告にカネかけてもしょうがないよ。どうせ大したモノ作れないし・・・」

いえいえそんなコトないでしょう。
テレビCMではないですが、JR大阪環状線の福島駅には、町の自動車整備工場さんが出した有名な?看板広告があります。
分類すれば「ナンセンス」なんでしょうね。いや「エクストリーム」か?
いずれにせよ、大阪らしいっちゅうか・・・。

え?コレみたらよけいに広告出す気が失せた?
いやいやいや・・・・。(^^;

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2022年1月6日 箱根駅伝を見て毎年感じること

今年のお正月も外出もせずうだうだと寝正月でした。
なんとなくダラダラと仕事もしてたりして(トホホ・・・)。

そんな中、家族が駅伝好きなもんで、箱根駅伝のTV中継がずっと流れていました。
毎年思うのですが、あの中継で垂れ流される言説(というか、コトバの羅列というか、クズ情報の奔流というか)には本当に●●させられます。
ウンザリ・ぐったり・イライラ・呆然・感服・・・。
どれでも良いんで●●に入れといてください(笑)
よくもまぁ、あれだけたくさんの情報を、それもレースと大して関係のない小ネタを、臆面もなく暑苦しい口調で吐き出し続けられるなと。
ランナーの名前の由来、家族ネタ、先導白バイのプロフィール・・・。いやぁ、ご立派!

それら小ネタの集積から紡ぎ出されるストーリーは毎年ほとんど同じ。主語や目的語の固有名詞が違うだけ。
ま、箱根駅伝というレース自体が同じストーリーで展開される宿命なので仕方ないですが。コースも距離も時期も同じで、変わるのは大学名とランナーの名前だけなので。

こういう中継手法を連綿と繰り返すことのできる「伝統」は何を土壌として成り立っているのでしょうか?
TV局に聞いたら「そりゃ、視聴者の方々がお求めになられているんですよ」と答えるんでしょうね。

本当か?視聴者は本当にアレを求めているのか?どこかで思考停止して安易な予定調和に流れた中継手法、番組作りをやっていないか?
ああいう番組作りを良しとして受け入れる感性自体が、日本社会の活力のなさの表れであり、それに乗っかっている日本企業の成長力が鈍化する原因ではないか?
ワタシはそれが言いたい!!!(故

      謹 賀 新 年

いいじゃんアレで。恒例行事なんだから。儀式みたいなもんよ。儀式が予定調和を外れてイノベーションやっちゃいかんでしょ。新年早々目くじら立てなさんな。

そうなのかなぁ・・・。朝から酔っぱらってるのかな。

今年もよろしくお願いいたします。

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